日々の活動やニュースに対する考え、視察の報告などをブログにまとめています。

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神谷宗幣 (かみやソウヘイ)

ブログの記事一覧

勝兵塾 関西支部

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今夜は、勝兵塾で講演でした。

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『日本のスイッチを入れる』というタイトルで、

なぜ、危機感を持って政治家になったのか。

この六年間で何をしてきたか。

これから何をしていくべきか。

という内容をお話してきました。

時間に限りがあり、十分に話せなかったこともたくさんあります。

また、自分で勉強会でも主催し、皆さんとお話する場をつくろうかと考えています。

今日はわざわざ浜松から私の話を聞きに来て下さった方もいらっしゃったので、

そうした方にも満足してもらえる語り合いの場があればなあ、と改めて感じました。

iPhoneからの投稿

兵隊に行きたくない中国の一人っ子たち

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毎年海外視察に行っていて気付くことは、

国が経済的に豊かになれば、

若者のハングリー精神は減退するということです。

シンガポールでも、中国でも、オーストラリアでも同じ悩みがあると学校の先生方がおしゃっていました。

海外の現状を聞くと、日本の教育はなかなか凄いな、と思ったこともしばしばです。

国が富み、戦争などしなくなるのが一番ですが、

国を守る、人のために働くという意識までなくなってしまっては困ります。

対岸の火事ではありません。

日本のこともよくよくふりかえりましょう!!

兵隊に行きたくない中国の一人っ子たち
簡単には兵力増強できない中国軍の実状

2012.11.13(火) JB PRESS 姫田 小夏

 「依法服兵役是公民的栄誉義務」(法に基づく服役は国民の栄誉ある義務)そんなスローガンが書かれた横断幕が、上海市内の大学構内にも掲げられた。

 中国人民解放軍(以下、人民解放軍)は毎年定期的に募集を行っている。今年はさらに“賢い知識青年”の比率を高めようと力を入れており、特に大学生の入隊に期待している模様だ。

 中国には兵役の義務がある。「中華人民共和国憲法」第55条は「祖国を防衛し、侵略に抵抗することは一人ひとりの国民的神聖な職務である」と謳っている(ただし実際には、個人の志願に委ねられており、韓国のような厳格な徴兵はない)。

 「中華人民共和国兵役法」(以下、兵役法)第12条によれば、満18~22歳(高等教育機関での学習者は24歳まで延長)の者が徴兵される、とある。つまり現在は、1988~1994年生まれである「80后(80年代生まれ)の末期と90后(90年代生まれ)の前半」がその対象となる。

 人民解放軍は人員を派遣し、中国各地の大学を訪問し説明会を行うなどして、大学生をかき集める。だが、その歩留まりが思わしくない。中国のニュースサイト「人民網」によれば、2011年は歩留まりの低さが目立った年だったという。

 山東省と言えば、全国の10分の1に相当する新兵を創出する一大拠点。裏を返せば多くの貧農を抱えているというわけなのだが、ついに昨年は人員が計画の数に満たず、2度も募集キャンペーンを繰り返した。

 その理由はいくつかある。出生率の低下がその1つだ。90年代生まれは、中国の第3次ベビーブーム(1985~1990年)を終えた後の世代で、その出生率低下は大学受験者数などにも影響が表れるほど。山東省でもまさしく新兵募集を巡って90年代の出生率低下に頭を悩ましている。

 また、かつての貧農は、国や地方政府から支給される手当を目当てに息子を兵役に送り込んだものだったが、今では就職先や学業の場に恵まれ、息子に軍隊生活の苦労をさせずとも、そこそこの生活ができるようになった。

 その一方で、企業では猫の手も借りたいほどの人手不足。軍と企業が若者を引っ張り合う状況が生まれており、これが「新兵不足」につながっているとも言われている。

いまどきの一人っ子にはムリ?

 「国防意識の低下」も大きく指摘される。個人の価値が多様化し、本人たちも「苦労はしたくない」という意識が強い。また各家庭の親も「大事な一人息子を太陽の下で働かせて汗をかかせるなどとんでもない」という思いを抱いている。

 こんなエピソードがある。

 2011年、北京大学では3500人の学生が参加して2週間の軍事訓練を行ったが、めまいで医務室に転がり込んだ学生の数は延べ6000人を超えたともいう。

 中国では、大学や専門学校の新入生を対象に、1~2週間にわたって軍事訓練が行われる。訓練内容は様々で、中には「直立不動を一定時間続ける」というメニューもある。だが、残暑厳しい9月という天候も禍いし、バタバタと倒れる男子学生が続出するらしい。

 また、ある大学生が訓練5日目にして退学したことも話題になった。「毎日風呂に入れない、食堂の食事がまずい」というのがその理由だった。

 一方、2012年9月、河南省のある大学では軍事訓練が突然中止になった。指導にあたる人民解放軍の兵士が現場の配備に駆り出され、訓練に手が回らなくなったというのだ。中止の通知を受けた学生たちが手を叩いて喜んだことは想像に難くない。誰もがこの訓練にうんざりしているのだ。

進む兵役逃れ

 中国では大学生でも学業を中断して兵役に臨む。しかし、条件が厳しいため最終審査に残る人材は限られる。

 男性なら162センチ以上、女性であれば160センチ以上の背丈、また(身長-110)の標準体重が求められる。視力も裸眼で右目4.9(日本で言う0.8)、左目4.8(日本で言う0.6)以上が求められる。

 筆者が訪問した80后の一人息子を持つ母親Aさんは「うちの息子も申し込みましたが、視力が悪いため不合格でした」と打ち明ける。

 近年の若い兵士の“質”低下は、以前から指摘されるところでもあった。2011年9月に発表された「国民体質測定結果」によれば、小中学生の視力の悪化や肥満傾向に加え、健康と基礎体力が25年連続で下降線を描いているという問題が指摘された。

 中国では体育の授業が疎かにされているせいもある。中国の体育の授業は、日本の授業で求められるような発達段階に応じたプログラム設計や、それに基づいた学生に対する達成度の要求などが明確ではない。学生たちも、国数英には力を入れるが、体育、美術では力を抜く、といった具合である。学生の体力増強のために、現在、中国教育部では「体育の成績を大学入試の評価に加える」などの議論が展開されている。

 他方、審査をクリアしても最後の最後で入隊を拒否するケースも少なくない。条件から外れようと故意に薬物を服用し、血液検査や尿検査で「不合格」になろうとするケースもある。

 前出のAさんは「そういう息子を持つ家庭に対しては、町内ぐるみで参加を促すようにしているんですが・・・」と語る。

 兵役は義務とはいえ、ある程度の自由度があるため、そもそも兵役に服さない学生も存在する。応じなければ学費の補助などの優遇が受けられないほか、「人事档案」(職場や団体が保管する個人の身の上調書)にその行状記録が残ってしまう。

 それでも過酷な軍隊生活を嫌がる若者は少なくない。湖南省長沙市の出身のBさん(23歳)は「当時のクラスメイトで兵役に就いた者はほとんどいない」と話している。

テレビドラマで国防意識を高揚


 中国国防部(日本の防衛省に相当)にとっては、こうした若者の「兵役離れ」が大きな問題になっている。何しろ、960万平方キロメートルという、世界第3位でアジア最大の国土と延々たる国境線を抱える上、昨今、尖閣諸島周辺にきな臭さが立ちこめているため、防衛力配備にはより多くの人手が必要となっているのだ。

 人民解放軍は隊員募集期間の到来に先立ち、今年は一種の心理的誘導作戦を展開した(毎年何らかの仕掛けはあるようだが)。それは、国慶節期間中に放映された、若者の入隊をテーマにした「我是特殊兵」(私は特殊兵)というテレビドラマである。

 男子学生の主人公が恋人を追って入隊を決意するが、軍隊生活は想像以上に過酷な世界であることを知る。それがドラマの始まりだ。

 論理的に物事を思考する大学生には、上官の命令の不条理が受け入れられない。班長の暴君ぶりに「非人道的だ」と反抗する主人公だが、必ず重い処罰が加えられる。

 「軍隊とは何か」という問いから始まるこの作品が描くのは、上下関係の中からも生まれ出てくる人間愛、過酷な生活を通して結ばれる人間の絆の強さである。そこからは、視聴者をホロッとさせながらも、国民の国防意識を高めようという意図が伝わってくる。

 今年の入隊応募者は、この映画に感化された者も少なくないようだ。大学生の間では「自分もあの主人公のように・・・」といった志願者も少なくないようで、ネット上には「積極的に行くぞ」「あのドラマを見たからには!」などの書き込みが散見される。

「軍事教育で鍛え上げてほしい」という親も

 さて、親の本音はどうなのか。

 前出のAさんは「上海人の家庭ならば“行かせたくない”というのが本音でしょう。息子の苦労が気になりますから。正直に言えば、息子が近視でよかったです」と打ち明ける。

 その一方で、苦労を知らない「90后」「80后末期」生まれが厳しい軍隊生活で人として成長することを期待する家庭もある。ネットには「90后の親ならば、独立心を養うために絶対入隊させるべきだ」とする書き込みが現れる。「団体精神の育成」「厳しい規律に耐え抜く意志」「苦労を乗り越える我慢強さ」などが軍事教育で身につけられると期待する声は少なくない。

 しかし、“中国版新人類”と呼ばれる90年代生まれの学生たちの間には、「絶対服従を求める軍隊教育はムリ」という拒絶反応は依然強い。

 反日感情には簡単に火がついても、「お国のために」という気持ちはなかなか燃え上がらない。かつては一致した個人、家庭、軍の利害も、今はそのバランスを失いつつある。「愛国」というスローガンだけでは増強が難しい兵力の実情が浮かび上がる。

姫田 小夏:プロフィール
Konatsu Himeda
中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。

中国、日本分断計画 国内水源地を狙って活動拠点、権益広げる

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昨日の対馬のお話とリンクする話です。

地方の経済の維持が国防に繋がるというのが私の考えです。

この問題、もう少し勉強していきたいと思っています。

中国、日本分断計画 国内水源地を狙って活動拠点、権益広げる
 
3.25 ZAKZAK

 2013年度予算で国防費のさらなる増強を決めた中国。強大な軍事力を背景に、沖縄県尖閣諸島を強奪しようとする思惑が透けて見えるが、脅威は国境の孤島にとどまらない。日本の国土を手に入れようとする中国資本の動きも目立つ。狙うのは、広大な森林や豊かな水資源。深刻化する環境汚染の打開に利用するばかりか、「日本を中国に取り込むための長期戦略の足がかり」(専門家)との指摘もある。深く静かに進行する不気味な野望とは-。
 鳥取県の中央部に位置する三朝(みささ)温泉。日本百景のひとつにも選ばれる、のどかな温泉街に衝撃が走ったのは2010年9月のことだ。
 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、同所で中国の業者による別荘地の買収計画が持ち上がっていることを報じたのだ。
 県関係者は、当時をこう振り返る。
 「ちょうどその頃は、中国資本による日本の森林地の買収が話題になっていた。時期が時期だけに、『何が目的なのか』と不安を口にする人が多かった」
 取引を仲介したのは上海にも現地法人を持つ地元の不動産開発業者。
 現地ブローカーを介して、中国人投資家が接触してきたという。
 「何度か視察にも来て商談はかなり進んでいました。でも、報道が出たこともあって結局破談になった。買収の目的? それはわかりません」(開発業者)
 この騒動が持ち上がる約半年前の4月下旬には、世界有数のスキーリゾートのニセコ地区を抱える北海道倶知安町(くっちゃんちょう)でホテル跡地が買収された。登記簿などによれば、買ったのは、外資系弁護士事務所に籍を置く合同会社。だが、それはかりそめの姿だ。
 「合同会社は買収のために作ったペーパーカンパニー。実際の資金の出所は、上海に本拠を置く中国系ファンドだ」(事務所関係者)
 関係者によると、当時北海道などを中心に、同様の中国系ファンドによる不動産投資が相次ぎ、一種の投資ブームのような状況になっていた。東日本大震災後には、いったんブームも収束したが、「最近、また日本の不動産に興味を示す中国系ファンドが増えている」(関係者)という。
 こうした事例はほんの一例に過ぎない。
 昨年5月に国土交通省と農林水産省が行った合同調査によれば、一昨年の1年間で外国資本に買収された森林は157ヘクタール。このうち半分以上の87ヘクタールを中国系企業が取得した。日本の豊かな自然を買いあさる中国。目的は何か。
 『中国最大の弱点、それは水だ!~水ビジネスに賭ける日本の戦略~』(角川SSC新書)の著書がある国際政治学者で、参院議員の浜田和幸氏が次のように解説する。
 「第一の狙いは、水資源の確保にある。急速な経済発展の影で環境対策をないがしろにしてきた。そのために、地下水や河川の汚染が深刻化し、現地の水事情は悲惨な状況だ。問題打開のため、地下水脈や水源地がある日本の森林を手に入れ、良質な水の安定供給を図ろうとしている。中国共産党が主導して将来を見据えた投資を行っているとみていい」
 水を狙うばかりか、中国は日本の想像を超えるある野望も抱いているという。「中国共産党幹部からの証言」として浜田氏が続ける。
 「共産党内部では5~6年前から『日本分断計画』が真剣に検討されている。日本国内に活動拠点を築き、内部から権益を広げていく。不動産投資は、100年単位の時間をかけて日本を支配下に置くための長期的な軍事戦略の一環という側面もある」
 中国・北京では今月、日本の国会に相当する年に1度の全国人民代表大会(全人代)が開催され、同大会で、胡錦濤氏から習近平氏へと10年ぶりの政権交代が行われた。同時に覇権主義の肥大化もあらわになった。
 「大気汚染などが問題となっている中国では、環境対策が喫緊の課題。ところが、今年度の環境対策費は約3300億元(約4兆9500億円)。伸びは13・3%増だった2012年度から1・2ポイント減って12・1%増に留まった。これとは対照的に13年度の国防費は前年度から10・7%も増えた」(外交筋)
 中国の国防予算は約7400億元(約11兆1000億円)で実に25年連続の2ケタ増。日本の13年度の防衛費(4兆7538億円)の2・3倍に膨れあがった。
 札束攻勢で国土を買いたたき、圧倒的軍事力を背景にした挑発外交を仕掛ける中国。硬軟織り交ぜた攻撃に対抗する術は徹底した自衛しかない。

「生活保護通報」小野市条例案が成立へ

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心理的抑止にはなると考えますが、

通報があった後にどのような対処をするか。

それが目に見えないものになれば、

ガス抜き条例になってしまう恐れを含むものだと思います。

小野市の挑戦に注目です。

「生活保護通報」小野市条例案が成立へ 反響1700件

朝日新聞デジタル 3月25日(月)12時44分配信

 【広川始】生活保護や児童扶養手当を受ける人たちがパチンコやギャンブルに浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づける兵庫県小野市の市福祉給付制度適正化条例案が、25日の常任委員会で全会一致で原案通り可決された。27日の本会議で成立する見込みで、4月から施行となる。蓬莱務(ほうらいつとむ)市長(66)肝いりの条例案に1700件超の意見が寄せられたが、6割は賛成の内容だ。

 「生活保護に対する無関心を改め、意識改革を図りたい」。蓬莱市長は11日の本会議でこう述べた。浪費だけでなく、保護が必要な人の通報も求めていることから「(生活困窮者の)監視ではなく、見守りの強化が目的。受給者の増加はあり得る」と主張する。

 条例案をめぐっては市議会で(1)保護費の使い道の規制に踏み込むことは妥当か(2)通報によって受給者のプライバシーを侵害する恐れはないか、が主な論点。市側は(1)には「現行法が不明瞭なままにしている(受給者の)生活上の義務規定を、部分的に明文化したものに過ぎない」、(2)には「罰則規定はなく、強制力を伴うものではない。通報するか否かは個人の自由意思に任されている」と説明した。市議会(16人)で反対の議員は1人だ。

生活保護を問う

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取り締まりや管理にもお金がかかります。

現状のままではどうしようもないところにきています。

制度破綻しているのに、、それを変えられない。

一番の問題は、国民の心。

社会保障費の膨れ上がりは、

戦時中の軍事費の膨れ上がりと同じ構造だ、

という方もいます。

負けてからまた後悔したり、責任のなすり付けをするのでしょうか。

【特集・生活保護を問う】Gメン「もっと調査権限を」 ペナルティー存在しない不正受給

2013.3.24 07:00 産経

 不正受給にペナルティーが存在しない、との指摘がある。支給した自治体は返還を求めることができるが「使い尽くして金がない」といわれれば、それまで。生活保護はそのまま継続される。「最低限度の生活保障」(生活できるぎりぎりの額)という制度の性格上、保護費から強制的に天引きすることもできない。自治体の調査権限には限りがあり、刑事告発に至るケースも極めてまれ。保護費全体に占める不正受給の割合は1%に満たないが、一部の“悪意”が制度の信頼を大きく揺るがしている。
動かない電気メーター
 大阪市内のとある住宅街。散歩のような足取りの3人組の男性が、アパート一室の前で足を止めた。辺りに注意を払いながら走らせた視線の先には、壁に取り付けられた電気メーター。表示されている数字を覚え、再び歩き出す。少し離れたところでメモ帳に数字を書き付けた。
 《8819・1》
 見返すと、1カ月前の日付にも同じ数字があった。電気がまったく使われていない。疑念が深まる。「この部屋に住んでいるわけがない」
 3人組は警察官OB(63)と区役所OB(64)、現役の区役所職員(40)。大阪市の不正受給調査専任チームのメンバーで、「生活保護Gメン」とも呼ばれる。
 3人が監視していた家には、生活保護受給者の50代男性が1人で暮らしているはずだった。だが、近くに住む40代女性と内縁関係にあり、女性宅で同居しているとの情報が市に寄せられていた。
 この女性も受給者だ。それぞれ単身として申請し、2人合わせて約26万5千円の保護費を受け取っている。2人が一世帯として申し込むより数万円多く、より多額の保護費を受給するため単身を装っているというのがGメンの見立てだ。
不正判断に高い壁
 そもそも自治体が不正受給の判断を下すには「不当、不正に受給しようとする意思」(故意)の立証が必要とされる。この男性のケースなら「たまたま外出することが多かった」と否定されれば、不正とは見なせない。自治体がGメンを組織し、警察さながらの調査を行わなければならない理由はここにある。
 それでも故意とまで言い切れなければ、控除や減額が認められる緩やかな費用返還しか求められない。大阪市の平成23年度の不正受給額は17億4800万円だったが、こうした“グレー”な事例や、返還に充てるべき受給者の資産を含めると総額は41億円超に跳ね上がる。
 大阪市は昨年4月から、職員と警察官OBなどの嘱託職員2人の計3人を1チームにして、全24区に配置。張り込みや銀行口座の調査などにあたらせている。今年1月末までの調査対象は約千人。うち約260人の不正を確認した。
 適正化への取り組みは、他の自治体にも広がっている。東大阪市では警察OBらが情報提供を受け付けるホットラインを設けたり、ケースワーカーに対する助言や警察との調整役を務めたりしている。
調査の足かせ
 ただ、態勢が整いつつある一方で課題も残る。Gメンによると、大きな足かせとなっているのが調査権限が限定されている点だ。
 現状では銀行口座や不動産の調査も受給者本人のものに限られ、金の流れはごく一部しか分からない。届け出た住所に実際に住んでいるかを調べようにも、オートロック付きマンションだと手が出せない。
 冒頭のチームの職員は「マンションの防犯カメラのチェックや関係者の資産調査ができれば、もっと動かぬ証拠を突きつけられるのに」とこぼした。
 実際、同居が疑われた男性に対して、地道に集めた電気メーターなどのデータを提示したが「電気も水道も使わずに自宅にいる」と強弁され、「故意」の結論は出せないまま。もちろん、保護費は今も男女それぞれに支給されている。
 加算金制度を創設へ 政府の生活保護改正案
 生活保護の不正受給に歯止めをかけるため、政府は今国会にも、厳罰姿勢を明確にした生活保護法改正案を提出する方針だ。
 厚生労働省は現行制度にペナルティーがないとの批判を踏まえ、不正に得た保護費の全額に一定額を上乗せして返済させる「加算金制度」を創設する意向。
 自治体の権限も拡大する。受給者の就労状況や保護費を何に使ったか調査できる権限を明文化するほか、官公庁に対しては自治体調査に回答する義務を課す。「従来は税務署や年金事務所などで、照会に応じてくれないケースがあったため」(厚労省の担当者)という。罰則も「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「同100万円以下の罰金」に引き上げる方向だ。
 法改正に先立って、厚労省は不正受給者から費用を徴収できるとした同法78条をより厳格に適用するよう各自治体に通知した。
 本来、不正受給と判断すべきケースでも「反省している」「調査に協力的」などの理由で返還額を減額する自治体があり、「是正すべし」と会計検査院から注文を受けたためだ。
 ただ、不正受給への包囲網が着々と整備される一方で、回収の見通しは暗い。厚労省の調査によると、22年度の徴収率は28%、23年度も26%で改善の傾向は見られない。

【特集・生活保護を問う】完済まで50年…回収阻む保護のジレンマ

2013.3.24 07:15 産経

 生活保護の不正受給が拡大する中、支給した費用の回収に自治体が苦悩している。不正発覚後も保護を受け続け、その中から返済金をやりくりする受給者が少なくないためだ。原資が保護費である以上、回収率は思うように上がらない。一方で、無理な返済は自立の妨げになるだけ。結局のところ、不正受給そのものを減らすしか、効果的な対応策がないのが現状だ。
不可能な返済計画
 返済できる精いっぱいの金額は「月に5千円」という。不正受給の総額は約290万円だから、完済まで50年近くかかる計算だ。
 “債務”を背負っているのは大阪府大東市の40代女性。生活保護費をだまし取った詐欺容疑で昨年秋、府警に書類送検された。女性は「心臓
疾患で働けない」と市に申告していたが、実際は市内のホテルに勤務。保護費とは別に毎月約13万円の給料をもらっていた。
 担当のケースワーカーが偶然、ホテルの従業員用駐輪場に自転車を止める女性を目撃。市生活福祉課の職員が以後2週間にわたって張り込みを行い、フロント係としての稼働実態を確認、刑事告発していた。
 不正受給分の費用を徴収できると定めた生活保護法78条に基づき、市が女性と交渉した結果が冒頭の月5千円という返済計画。原資は女性のバイト代だ。完済までに90歳を超えることを考えれば、全額回収は事実上不可能。それでも同市の担当者は一定の評価も見せた。「自ら稼いだ金で返してくれる人は少ないから」
保護のジレンマ
 同市の不正受給者のおよそ8割は、月々の保護費から返還分をやりくりしている。不正に使った税金の穴を、新たに受け取る税金で埋める-。「不正受給にペナルティーなし」といわれるゆえんだ。
 受給者数が全国最多の大阪市でも保護費から分割返済する人は少なくない。正確な統計はないが、月数千円が一般的。徴収率は3割に満たない。
 そもそも分割返済にしても、受給者の同意が大前提となる。生活保護は「最後のセーフティーネット」であり、強制徴収は違法。受け取った保護費をどう使うかも、法の趣旨に反しない限り受給者の自由であり、自治体が縛りをかけることはできない。
 「『手元に金がない』といわれれば、行政として打つ手はない。かといって無理な返済で生活に支障を来せば、自立が遅れて保護が長引いてしまう」と同市の担当者はジレンマを口にする。
 悪質なケースで刑事事件になっても、生活保護がすぐ廃止されることはない。勾留中は衣食住が保証されているため支給が停止されるが釈放後は再開される。実刑となって初めて打ち切りとなるが、矯正施設を出れば受給申請は可能。過去の不正受給分を返済したかどうかは関係がない。

【特集・生活保護を問う】刑事告発に及び腰の自治体「国の指針がないから…」

2013.3.24 07:30 産経

 生活保護の不正受給をめぐり、自治体の対応に甘さが目立っている。不正調査にはそれぞれ力を入れているが、保護費の回収を優先するあまり、刑事告発には及び腰になっている。こうした自治体の姿勢が不正を助長しているとの批判もあり、厚生労働省は4月にも全国の自治体に統一的な告発基準を通知し、厳格な対応を求める方針だ。
 「不正受給が行われたと知りつつ告発しなかったのは、地方公務員法に違反し詐欺の幇助(ほうじょ)にもあたる」
 昨年7月、さいたま市議ら2人が、さいたま地検に提出した告発状の一節だ。指弾されたのは、市長と生活保護業務にかかわる市職員。平成23年度、同市では不正受給が計約350件(総額約1億7千万円)あったにもかかわらず、告発手続きをただの1件も行わなかったとして市長らを“逆告発”する内容だった。
 約3カ月後に地検が下した結論は不起訴。結果からすれば強引な告発だったが、市議は「立件されるかどうかはともかく、自治体が不正を野放しにしている実態を知ってもらいたかった」と問題提起の意義を強調した。
 実際、不正受給に対する自治体の告発は低調だ。厚労省のまとめでは、23年度の不正受給は過去最多の3万5568件(173億1299万円)に上ったのに対し、告発に至ったのはわずか60件。全体の約0・17%にすぎない。
 現行制度ではたとえ悪質な不正が発覚しても、自治体は支給額以上を徴収することはできない。告発しない限り、ペナルティーにはならないのだ。
 それでも、多くの自治体は「告発すればかえって徴収が遅れる」(大阪府内の自治体担当者)と保護費の回収を第一義としてきた。
 さいたま市議によると、同市では1897万円の不正受給者でさえも告発を見送り、うち784万円については市の債権が時効消滅していたため、請求すらできなかった。
 同市の担当者は「告発を軽視したわけではなく、受給者の返済意思や不正解明への協力姿勢を総合判断した結果」と説明する一方、「当時は市として明確な告発指針がなく、国のガイドラインを待っていた」とも釈明した。
 市議は「結果的に全額回収できないのであれば、積極的に告発したほうが抑止になる」と市の姿勢に不満を隠さない。