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神谷宗幣 (かみやソウヘイ)
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生活保護を問う

ブログ |

取り締まりや管理にもお金がかかります。

現状のままではどうしようもないところにきています。

制度破綻しているのに、、それを変えられない。

一番の問題は、国民の心。

社会保障費の膨れ上がりは、

戦時中の軍事費の膨れ上がりと同じ構造だ、

という方もいます。

負けてからまた後悔したり、責任のなすり付けをするのでしょうか。

【特集・生活保護を問う】Gメン「もっと調査権限を」 ペナルティー存在しない不正受給

2013.3.24 07:00 産経

 不正受給にペナルティーが存在しない、との指摘がある。支給した自治体は返還を求めることができるが「使い尽くして金がない」といわれれば、それまで。生活保護はそのまま継続される。「最低限度の生活保障」(生活できるぎりぎりの額)という制度の性格上、保護費から強制的に天引きすることもできない。自治体の調査権限には限りがあり、刑事告発に至るケースも極めてまれ。保護費全体に占める不正受給の割合は1%に満たないが、一部の“悪意”が制度の信頼を大きく揺るがしている。
動かない電気メーター
 大阪市内のとある住宅街。散歩のような足取りの3人組の男性が、アパート一室の前で足を止めた。辺りに注意を払いながら走らせた視線の先には、壁に取り付けられた電気メーター。表示されている数字を覚え、再び歩き出す。少し離れたところでメモ帳に数字を書き付けた。
 《8819・1》
 見返すと、1カ月前の日付にも同じ数字があった。電気がまったく使われていない。疑念が深まる。「この部屋に住んでいるわけがない」
 3人組は警察官OB(63)と区役所OB(64)、現役の区役所職員(40)。大阪市の不正受給調査専任チームのメンバーで、「生活保護Gメン」とも呼ばれる。
 3人が監視していた家には、生活保護受給者の50代男性が1人で暮らしているはずだった。だが、近くに住む40代女性と内縁関係にあり、女性宅で同居しているとの情報が市に寄せられていた。
 この女性も受給者だ。それぞれ単身として申請し、2人合わせて約26万5千円の保護費を受け取っている。2人が一世帯として申し込むより数万円多く、より多額の保護費を受給するため単身を装っているというのがGメンの見立てだ。
不正判断に高い壁
 そもそも自治体が不正受給の判断を下すには「不当、不正に受給しようとする意思」(故意)の立証が必要とされる。この男性のケースなら「たまたま外出することが多かった」と否定されれば、不正とは見なせない。自治体がGメンを組織し、警察さながらの調査を行わなければならない理由はここにある。
 それでも故意とまで言い切れなければ、控除や減額が認められる緩やかな費用返還しか求められない。大阪市の平成23年度の不正受給額は17億4800万円だったが、こうした“グレー”な事例や、返還に充てるべき受給者の資産を含めると総額は41億円超に跳ね上がる。
 大阪市は昨年4月から、職員と警察官OBなどの嘱託職員2人の計3人を1チームにして、全24区に配置。張り込みや銀行口座の調査などにあたらせている。今年1月末までの調査対象は約千人。うち約260人の不正を確認した。
 適正化への取り組みは、他の自治体にも広がっている。東大阪市では警察OBらが情報提供を受け付けるホットラインを設けたり、ケースワーカーに対する助言や警察との調整役を務めたりしている。
調査の足かせ
 ただ、態勢が整いつつある一方で課題も残る。Gメンによると、大きな足かせとなっているのが調査権限が限定されている点だ。
 現状では銀行口座や不動産の調査も受給者本人のものに限られ、金の流れはごく一部しか分からない。届け出た住所に実際に住んでいるかを調べようにも、オートロック付きマンションだと手が出せない。
 冒頭のチームの職員は「マンションの防犯カメラのチェックや関係者の資産調査ができれば、もっと動かぬ証拠を突きつけられるのに」とこぼした。
 実際、同居が疑われた男性に対して、地道に集めた電気メーターなどのデータを提示したが「電気も水道も使わずに自宅にいる」と強弁され、「故意」の結論は出せないまま。もちろん、保護費は今も男女それぞれに支給されている。
 加算金制度を創設へ 政府の生活保護改正案
 生活保護の不正受給に歯止めをかけるため、政府は今国会にも、厳罰姿勢を明確にした生活保護法改正案を提出する方針だ。
 厚生労働省は現行制度にペナルティーがないとの批判を踏まえ、不正に得た保護費の全額に一定額を上乗せして返済させる「加算金制度」を創設する意向。
 自治体の権限も拡大する。受給者の就労状況や保護費を何に使ったか調査できる権限を明文化するほか、官公庁に対しては自治体調査に回答する義務を課す。「従来は税務署や年金事務所などで、照会に応じてくれないケースがあったため」(厚労省の担当者)という。罰則も「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「同100万円以下の罰金」に引き上げる方向だ。
 法改正に先立って、厚労省は不正受給者から費用を徴収できるとした同法78条をより厳格に適用するよう各自治体に通知した。
 本来、不正受給と判断すべきケースでも「反省している」「調査に協力的」などの理由で返還額を減額する自治体があり、「是正すべし」と会計検査院から注文を受けたためだ。
 ただ、不正受給への包囲網が着々と整備される一方で、回収の見通しは暗い。厚労省の調査によると、22年度の徴収率は28%、23年度も26%で改善の傾向は見られない。

【特集・生活保護を問う】完済まで50年…回収阻む保護のジレンマ

2013.3.24 07:15 産経

 生活保護の不正受給が拡大する中、支給した費用の回収に自治体が苦悩している。不正発覚後も保護を受け続け、その中から返済金をやりくりする受給者が少なくないためだ。原資が保護費である以上、回収率は思うように上がらない。一方で、無理な返済は自立の妨げになるだけ。結局のところ、不正受給そのものを減らすしか、効果的な対応策がないのが現状だ。
不可能な返済計画
 返済できる精いっぱいの金額は「月に5千円」という。不正受給の総額は約290万円だから、完済まで50年近くかかる計算だ。
 “債務”を背負っているのは大阪府大東市の40代女性。生活保護費をだまし取った詐欺容疑で昨年秋、府警に書類送検された。女性は「心臓
疾患で働けない」と市に申告していたが、実際は市内のホテルに勤務。保護費とは別に毎月約13万円の給料をもらっていた。
 担当のケースワーカーが偶然、ホテルの従業員用駐輪場に自転車を止める女性を目撃。市生活福祉課の職員が以後2週間にわたって張り込みを行い、フロント係としての稼働実態を確認、刑事告発していた。
 不正受給分の費用を徴収できると定めた生活保護法78条に基づき、市が女性と交渉した結果が冒頭の月5千円という返済計画。原資は女性のバイト代だ。完済までに90歳を超えることを考えれば、全額回収は事実上不可能。それでも同市の担当者は一定の評価も見せた。「自ら稼いだ金で返してくれる人は少ないから」
保護のジレンマ
 同市の不正受給者のおよそ8割は、月々の保護費から返還分をやりくりしている。不正に使った税金の穴を、新たに受け取る税金で埋める-。「不正受給にペナルティーなし」といわれるゆえんだ。
 受給者数が全国最多の大阪市でも保護費から分割返済する人は少なくない。正確な統計はないが、月数千円が一般的。徴収率は3割に満たない。
 そもそも分割返済にしても、受給者の同意が大前提となる。生活保護は「最後のセーフティーネット」であり、強制徴収は違法。受け取った保護費をどう使うかも、法の趣旨に反しない限り受給者の自由であり、自治体が縛りをかけることはできない。
 「『手元に金がない』といわれれば、行政として打つ手はない。かといって無理な返済で生活に支障を来せば、自立が遅れて保護が長引いてしまう」と同市の担当者はジレンマを口にする。
 悪質なケースで刑事事件になっても、生活保護がすぐ廃止されることはない。勾留中は衣食住が保証されているため支給が停止されるが釈放後は再開される。実刑となって初めて打ち切りとなるが、矯正施設を出れば受給申請は可能。過去の不正受給分を返済したかどうかは関係がない。

【特集・生活保護を問う】刑事告発に及び腰の自治体「国の指針がないから…」

2013.3.24 07:30 産経

 生活保護の不正受給をめぐり、自治体の対応に甘さが目立っている。不正調査にはそれぞれ力を入れているが、保護費の回収を優先するあまり、刑事告発には及び腰になっている。こうした自治体の姿勢が不正を助長しているとの批判もあり、厚生労働省は4月にも全国の自治体に統一的な告発基準を通知し、厳格な対応を求める方針だ。
 「不正受給が行われたと知りつつ告発しなかったのは、地方公務員法に違反し詐欺の幇助(ほうじょ)にもあたる」
 昨年7月、さいたま市議ら2人が、さいたま地検に提出した告発状の一節だ。指弾されたのは、市長と生活保護業務にかかわる市職員。平成23年度、同市では不正受給が計約350件(総額約1億7千万円)あったにもかかわらず、告発手続きをただの1件も行わなかったとして市長らを“逆告発”する内容だった。
 約3カ月後に地検が下した結論は不起訴。結果からすれば強引な告発だったが、市議は「立件されるかどうかはともかく、自治体が不正を野放しにしている実態を知ってもらいたかった」と問題提起の意義を強調した。
 実際、不正受給に対する自治体の告発は低調だ。厚労省のまとめでは、23年度の不正受給は過去最多の3万5568件(173億1299万円)に上ったのに対し、告発に至ったのはわずか60件。全体の約0・17%にすぎない。
 現行制度ではたとえ悪質な不正が発覚しても、自治体は支給額以上を徴収することはできない。告発しない限り、ペナルティーにはならないのだ。
 それでも、多くの自治体は「告発すればかえって徴収が遅れる」(大阪府内の自治体担当者)と保護費の回収を第一義としてきた。
 さいたま市議によると、同市では1897万円の不正受給者でさえも告発を見送り、うち784万円については市の債権が時効消滅していたため、請求すらできなかった。
 同市の担当者は「告発を軽視したわけではなく、受給者の返済意思や不正解明への協力姿勢を総合判断した結果」と説明する一方、「当時は市として明確な告発指針がなく、国のガイドラインを待っていた」とも釈明した。
 市議は「結果的に全額回収できないのであれば、積極的に告発したほうが抑止になる」と市の姿勢に不満を隠さない。

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