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神谷宗幣 (かみやソウヘイ)
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原爆が戦争を終わらせた…わけではない

気になるニュース |

歴史の捉え方は多様でいいと思います。

いろんな側面があるのです。

それを認めあい、人間同士がなるべく殺しあわない未来をつくりたいものです。
「原爆が戦争を終わらせた…わけではない」米国の通説に米英豪メディアが異論

更新日:2015年8月6日  

6日、原爆投下から70年となる「原爆の日」を迎えた。終戦直後からアメリカ国民の間では「原爆のおかげで第二次大戦が終結した」という意識が大きく広まっていた。しかし、近年の研究では、その主張が覆されてきているようだ。8月6日の広島、9日の長崎の原爆の日を迎えるにあたり、英米のメディアがそれぞれの論を伝えている。

 

◆「原爆が戦争を終わらせたわけではない」

 

ワシントン・ポスト紙は、毎週「5つの俗説」として、世間に流布されている通説に対する反論を行っている。先週の回では、アメリカによる広島・長崎への原爆投下が70年を迎えるにあたり、カリフォルニア大学名誉教授であるグレッグ・ハーケン氏による原爆投下に関する通説への異議を掲載している。

 

「原爆に関する5つの俗説」として以下のものが挙げられている。

 

1.原爆が戦争を終わらせた

2.原爆が50万人のアメリカ人の命を救った

3.原爆のほかは日本侵攻しかなかった

4.原爆投下前に日本に警告があった

5.原爆でロシアに対する外交的有利さを得るようタイミングが図られたし、実際に初期の冷戦時には切り札となった

 

これらに対し、ハーケン教授は以下のように反論する。

 

1.最新の研究では、日本政府が終戦への仲介者として期待していたソ連が8月9日に予想外の対日参戦を開始したことのほうが、日本政府には大きな衝撃であったと結論づけられている。

2.トルーマン米大統領の回顧録では、軍幹部が日本侵攻により50万人のアメリカ人の命が失われたであろうと述べた、と書かれているが、実際の数はもっと少なかった。スタンフォード大学のバートン・バーンスタイン教授は、アメリカ統合戦争計画委員会(US Joint War Plans Committee)は日本侵攻による負傷者は19万3000人、死者は4万人と予測していたと述べている。

3.原爆投下以外にも、通常の爆撃と海上封鎖のほかに2つの選択肢が当時においても考えられていた。1つは、日本などから政府要人を招き、無人地帯か富士山で爆発させ、威力を見せつける。これは、その当時に原爆が2つしかなく、デモンストレーションが不発に終わる可能性があるため却下された。2つ目は、条件付き降伏を受け入れること。日本政府は「天皇を戦争犯罪者としない」という条件を求めていたが、アメリカ側は無条件降伏を主張したため実現しなかった。

4.7月26日にポツダム宣言が発された後、受諾しなければ「即刻の徹底した破壊」を警告するチラシが投下されたり、トルーマン大統領がラジオ演説で述べた、今までにないような空からの破壊、といったような警告はあった。しかし、広島や長崎への具体的な警告はなされていない。原爆を載せた爆撃機の撃墜を恐れたため。

5.実際には、原爆は準備ができ次第すぐに投下されたし、原爆がソ連との外交で切り札になることを望んだトルーマン大統領時の国務長官ジェームズ・バーンズ氏は戦後、「彼らは脅かされたりしない」と失望した。

 

◆ソ連、天皇への配慮、東京大空襲

 

オーストリアの公共放送局であるABCのサイトでも同じ論調の記事が掲載された。その記事によると、多くの歴史家が日本を降伏に導いたのは原爆ではなく、8月9日のソ連の参戦がより大きな衝撃を与えたと述べている。日本に好意的な交渉役というソ連に対する望みが絶たれた上に、ソ連を迎え撃つ余力は日本には残っていなかったからだ。さらに、歴史学者である田中利幸氏の「ソ連は天皇制を瓦解させただろうし、天皇や皇族を処刑しただろう」という言葉を伝え、日本政府の天皇への配慮が降伏の理由であることを示した。

 

また同記事は、テンプル大学ジャパンキャンパスのジェフリー・キングストン教授の、新しい爆弾はアメリカ人が望むようなインパクトを日本人に与えていない、という論も紹介。当時すでに66の都市が破壊されていたし、東京大空襲では10万人が亡くなっていた。同氏は「日本軍の視点からすれば、焼夷弾で人が亡くなろうが、爆弾で亡くなろうが、大きな違いはない」と述べている。

 

◆原爆の負の側面を強調

 

イギリスのBBCは、1945年3月に行われた東京大空襲が契機になったとしている。また続く4月から7月の間に、日本の各地で絶え間ない爆撃が行われたことも指摘している。

 

さらに同記事は、原爆の被害者の声を多く取り上げ、原爆による人的被害の大きさがあまり示されていないと主張する。原爆の爆発直後の悲惨な状況や、放射能による後々まで続く後遺症やいわれのない差別などを、被爆者の言葉を通して描き出し、原爆の負の側面を強調している。

 

また、原爆が軍事拠点の破壊でなく、最初から街の破壊を目的にしていたこと、そしてアメリカ政府が都合の良いバージョンの話を国民に伝え、被爆者がスミソニアン博物館でのエノラ・ゲイの展示に招かれた際に、「おめでとう、原爆のおかげで来られたのですよ。原爆がなければ、ハラキリをしなければならなかったかもしれませんからね」と、多数のアメリカ人に言われる状況になったことを伝えている。

 

そして最後に、日本の指導者らが日本軍が大戦中にアジアで行った犯罪行為を取り繕おうとしていること、そしてドイツや日本、イギリスも大規模な空襲で数々の都市を破壊したことを述べつつ、アメリカの1945年の日本への攻撃ほど市民の命を奪ったものはないとしている。

 

(阿津坂光子)

 

 

「原爆投下正しかった」米国人46% 若年層は「間違い」が多数 70年経て変化する意識

更新日:2015年8月1日
この8月、日本は太平洋戦争終結70年を迎えるとともに、広島、長崎に原爆が投下されてから70年ともなる。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、広島への原爆投下を報じた70年前の自紙の報道をブログで紹介し、英デイリー・メール紙(電子版)は、広島で原爆の災禍に見舞われた人たちの証言を伝えるなど、海外メディアで取り扱われる機会が増えている。そんな中、英調査会社ユーガブは7月、アメリカで原爆の発明の是非と、広島、長崎への原爆投下の是非についての世論調査を行った。原爆投下の是非をめぐっては、世代間で認識の開きが大きいようだ。

 

◆若年層では原爆投下は間違いだったとする意見が優勢

 

ユーガブは7月18~20日、アメリカ人1000人を対象に面接調査を行い、22日に調査結果を公開した。同社ウェブサイトのリリース記事が注目したのは、回答したアメリカ人の62%が、核兵器の発明は良くないことだったとしている点だ。良いことだったとしたのはわずか20%だった。

 

日本への2回の原爆投下は、正しい決定だったとした回答者は46%に上り、間違った決定だったとした回答者の29%を上回った。アメリカは、広島と長崎に原爆を投下することによって、日本に侵攻する必要を回避したが、この原爆投下によって13万人から25万人が死亡した、と記事は語る。原爆の使用は、戦争終結を早めたと広く信じられている、としている。

 

けれども、若い世代ではこの見方は大きく変わってくるようだ。18~29歳では、回答者の45%が、原爆投下の決定は間違いだったとした。正しい決定だったと答えたのは31%だった。ユーガブの調査結果を報じた米外交専門誌ナショナル・インタレストは、年齢層による見解の差に注目している。30~44歳では、これよりもう少し意見が割れており、36%が間違いだったとし、33%が正しかったとした、と伝えた。

 

それ以上の年齢層では、正しかったとする割合が優勢になる。ナショナル・インタレストはこのことを「驚くまでもない」とする。アメリカではこれが伝統的な見方だったからだろう。45~64歳では、55%が正しかったとし、間違いとしたのはわずか21%だった。65歳以上では、この傾向がさらに進み、65%が正しかったとし、間違いとしたのはわずか15%だった。同誌は「圧倒的」支持だとしている。

 

◆時代が下るにつれて、原爆投下への支持は低下している

 

ナショナル・インタレストは、時代による見解の変遷にも注目している。上述の通り、回答者全体では、「正しかった」が46%、「間違いだった」が29%だった。アメリカ人の間では、原爆投下の決定への支持が長年にわたって減少しており、今回の調査結果も、この傾向を引き継ぐものだとナショナル・インタレストは語っている。

 

終戦直後の1945年8月に世論調査機関ギャラップが行った調査では、原爆投下の決定を支持する意見が圧倒的だった、と同誌は語る。支持が85%に及び、不支持はわずかに10%だったという。その後、支持は急激に減少してきたが、今なお、概して半数以上が支持している、としている。原爆投下から50年を迎えた時期にギャラップが行った世論調査では、アメリカ人の59%が支持しており、その

 

10年後のギャラップの調査では、57%が支持していたという。

 

◆存在自体が望ましくない原爆の使用というジレンマ

 

またナショナル・インタレストは、アメリカ人の相対的多数が、日本に対する原爆使用をいまだに支持しているにもかかわらず、圧倒的に多くのアメリカ人は、核兵器の発明は良くないことだったと答えた、と報じ、相反する見方が存在することを示唆した。

 

このような相反する見方は、米地方紙デトロイト・ニュースに掲載されたとあるオピニオン記事にも見られる。筆者は、原爆を投下しなくても、アメリカが戦争に勝利していたことは疑いがない、と語る。兵士の犠牲が抑えられた、という説についても検討した上で、事実をすべて考慮すると、原爆の使用はおそらく不必要だった、と筆者は結論付けている。マッカーサー元帥自らが、原爆投下は誤りだったと考えていた、と語る。

 

けれども、アメリカは原爆投下という過ちを犯したが、その責任はやはり大日本帝国(の指導部)にある、と筆者は語る。恐らく新型兵器の脅威が国民に迫っていることを察しつつ、ポツダム宣言を「黙殺」(記事中では「意図的に無視」)したからである。アメリカはしばしば、核兵器を使用した唯一の国だと批判されるが、罪は国民をそのような惨事にさらした大日本帝国にある、と結論付けている。

 

◆原爆投下、敗戦を経てきた日本が今後進むべき道とは

 

カナダの有力全国紙グローブ・アンド・メールは、原爆投下、敗戦という歴史を経てきた日本が、今後取るべき道について提言するオピニオン記事を掲載している。筆者は米デューク大学アジア太平洋研究所のサイモン・パートナー所長。19・20世紀の日本史を専門とする歴史学教授である。

 

同氏は、日本の国会で安保法制が進められていることに触れ、また憲法改正によって、日本を本格的な軍事国にする案もあるとする。しかし同氏は、日本が目指すべきは再軍備ではなく、世界の調停者になることだと主張する。日本にはそのための資格が立派に備わっているとしている。

 

「平和憲法」のもと戦後の日本国民は、平和を希求してきた。憲法はアメリカ人の手に成るもので、意に反して日本政府に押しつけられたものであることはよく知られているけれども、憲法、特に9条は、日本国民の間で、驚くほど長く人気を享受している、と氏は語る。また、原爆によって日本国民は、核戦争の惨事をこうむる国が二度と出ないよう、世界的な平和運動をリードするのに自分たち以外に適任者はいないという意識を持つようになった、としている。

 

にもかかわらず、日米同盟のために、日本は侵略的な戦争への支援も含め、アメリカの外交政策に歩調を合わせねばならなかった。しかし今や、日本は、より自主的で積極的な役割を果たすべき時が来た、と氏は語る。衝突が衝突を生み、世界的に一触即発の状況で超大国が不安定な現代では、力強く、信頼できる調停国が主導する多国間交渉からのみ永続的な解決は生まれうる。日本はその役を果たすのに最も適任だと氏は断言する。

 

私たちは、この乱れた世界で、強力で影響力の大きな調停者を、どうしようもなく必要としている。まさに日本は、世界がより平和でより繁栄する未来のために最良の希望かもしれない、と氏は結んでいる。

 

 

「原爆は必要なかった」 アメリカの“原爆神話”に異を唱える米識者の主張とは

更新日:2014年8月9日

 

「原爆は必要なかった」 アメリカの“原爆神話”に異を唱える米識者の主張とは

 

8月6日広島、9日長崎の原爆の日を迎えるにあたり、米メディアで論客がそれぞれの主張を繰り広げている。

 

【正しい判断だったとする意見】

 

フォーブス誌は、原爆の日を「何が起きたかと同時に、それによって何が防げたかを考える意味で重要な日だ」と語るスタンフォード大学フーヴァー研究所研究員で医者でもあるヘンリー・I・ミラー氏の主張を伝えている。

 

同氏は、「ダウンフォール作戦(主にアメリカで構成される同盟国連合による日本本土上陸)」が行われずに済んだのは、原爆の結果だと言う。また歴史家のビクター・デイビス・ハンソン氏は、ふたつの要因を原爆投下の正当性として挙げている。ひとつは、大勢のアジア人が日本の占領下で毎日死んでいたこと。もうひとつは、マリアナ諸島から沖縄へB29が移動してくる計画があり、そこで攻撃が実施されていたら、先のふたつの原爆よりもっと多くの被害が出たであろうことだという。

 

第一次大戦下で、ヨーロッパが非常に多くの若い男性を失ったその記憶は30年後も鮮明だった、とミラー氏は言う。1945年、軍司令部と政府は、その歴史を繰り返したくないという点において戦略的にも倫理的にも正しく、もしその英断がなかったら、アメリカの戦後ベビーブーマーはもっと少なかったことだろう、と述べている。

 

【真実の隠蔽による正義神話】

 

一方、『Scoop』は、「アメリカでは、広島と長崎の原爆について、真実が検閲により削除された誤った歴史教育が行われている」と主張するゲイリー・G・コールズ氏の意見を伝えている。コールズ氏は元医者で、現役時代は、退役後重度の精神疾患やトラウマに苦しんだ軍人および民間人の診療を行い、今は非暴力による平和を訴え執筆を続けている人物であるという。

 

マッカーサーの最初の仕事はまず「広島、長崎の原爆の恐ろしさを証拠づけるすべての写真、書類を没収もしくは処分すること」だったとコールズ氏は言う。米英が戦争で行った行為はすべて「誇りある自己犠牲に基づく誉れ高い行為」であり、その他はすべて「蛮行」であるという洗脳が、政府・軍・および戦争から莫大な利益を得る企業などにより行われ続けているのだ、と同氏は訴えている。

 

ここにその一例がある。1995年、スミソニアン学術協会は、原爆の動機が「真珠湾の復讐」であったことの言及を含む「被害国としての日本」を強調する展示を企画した。しかし不都合な真実の開示は、右翼退役軍人および他の軍関係からすぐに妨害が入り、結局その案はキャンセルとなった。これはそうした動きのほんの一角に過ぎないという。

 

【原爆は必要なかった】

 

ルーズベルトおよびトルーマン政権の上層部は、原爆の数ヶ月間から既に日本が戦争を終わらせる道を必至に模索していたことをよくわかっていた。日本の降伏は、1945年の春にはもう目処がついており、つまり原爆の必要はなかった、とコールズ氏は主張する。

 

そうであるならば、なぜ原爆は投下されたのか。同氏はその要因について、1)巨額の投資、2)真珠湾の復讐、3)科学的好奇心、4)司令が既に8月以前に決定していた、5)対日開戦を表明したソ連への対抗、などであったと分析する。事実ならば、いずれもやるせない理由である。

 

原爆は大勢の市民を犠牲にした。それは国際法における戦争犯罪および人権侵害の定義に抵触する行為である。アメリカは戦後、日本やドイツの戦犯を処刑したが、広島長崎の大虐殺を指示した人物は一切お咎めなしのままだ、と同氏は指摘する。

 

【事実に目を向けよ】

 

今でも多くのアメリカ人は「我々の行いは世界の平和のため」という神話を信じたがっている 今更それを変えるのはもう遅いのかもしれない。コールズ氏が呼ぶところの「フレンドリー・アメリカン・ファシズム」は、既にその目的を達成しているのかもしれない、と同氏は嘆く。

 

それでもまだ、望みはある、と同氏は言う。戦争の歴史に口をつぐむのではなく、真実に目を向け、事実を学ぶのだ。アメリカ人にとってそれは心理的負担の大きい現実と直面することになるが、アメリカが本当の戦犯になってしまう前に、そして膨大に積み上がった諸外国からの恨みを一気に向けられる前に、アメリカの軍事主義、核兵器について学び、よく考える時間を持ってほしい。そしてぜひ、広島、長崎の祈念行事に目を向けてほしい、と同氏は強く主張している。

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