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神谷宗幣 (かみやソウヘイ)
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ドバイ視察 (平成22年4月9~13日)

視察・研修報告 |

ドバイ視察 (平成22年4月9~13日)

関西国際空港から飛行機で11時間、日本との時差5時間、砂漠の国アラブ首長国連邦の一つドバイを視察してまいりました。

参加メンバーは、神谷、石川吹田市議、南出泉大津市議、藤本習志野市議、工藤横浜市議の5名でした。

(参加費は全て自費負担。過去において地方議員が海外視察の名目で観光旅行していたことの反省から、全国的に地方議員の海外視察は公費が使えません。この国際化の時代に馬鹿げた話です。)

ドバイを選んだのは、知人のジャーナリストが昨年ドバイを訪れ、大変勉強になったとのことで、視察を勧められたことがきっかけです。

正式に外務省の方もご紹介いただき、現地視察のコーディネートもしていただきました。

お世話になりました皆様に心より感謝しております。ありがとうございました。

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今回、ドバイを訪れて考えたかったテーマは大きく分けて以下の4点です。

①外国人政策の問題

②世界を相手にした経済競争(貿易、観光)の問題

③教育や道徳の問題

④地方分権の問題

私が毎年海外を視察するのは、そこに私の政治家になった原点があるからです。私は、21で1年間海外に出るまで、政治家になろうなどと考えてはいませんでした。「自分がどうすれば幸せになれるか」と自分のことだけ考えていましたし、「日本での生活は当たり前のもの」と捉え、それに感謝することもありませんでした。

しかし、海外に出て多くの外国の若者と交流する中で、「自分を含めた今の日本の若者はこのままでいけない」と感じ、18カ国を旅する中で「日本に生まれたこと、日本人であること」の有難さを痛感しました。

この想いを伝えるために政治家になったようなものですが、「国のため、日本人の誇り」ということを国内で訴えれば、「保守的だ」とか「右翼だ」と揶揄されます。本当にどうにかしてますよ、この国は。そしてメディアや国民の多くもおかしい。

そうはいいながらも、ずっと国の中だけにいると、そうした思いも弱まることがあり、「どうせ言ってもみんな聞いてくれない。そんなことより自分の選挙や生活のことも考えないと、、、。」という弱い想いが私自身の中を駆け巡ることもあります。

そこで、年に一度くらいは海外に出て、自分の原点を見つめなおし、信念をぶれささないようにしているわけであります。

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まずは、ドバイの基本情報を少しお伝えします。

ドバイ首長国の位置(茶色)の位置図

 ドバイは、アラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつ。首長はムハンマド・ビン=ラーシド・アール=マクトゥームであり、アラブ首長国連邦の副大統領首相も兼任している。ドバイ政府の公表によると、 ドバイの2009年のGDPは1746億ディルハム(約4兆円)と予測されており、 ほぼ青森県と同じ経済規模。面積は埼玉県と同等。

1830年ごろ、小さな漁村だったこの地に、数百人のマクトゥーム一族が移住してきて建設された国。

現在の人口は約177万人。自国民の人口比率は全体のたった9%。外国人の87%がアジア系。

UAE自体は産油国だが、ドバイではほとんど石油が出ないため、石油に依存しない国づくりをめざし、貿易や観光での立国をめざす。

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外国人政策について

日本では、昨年国籍法が改正され、現在は外国人地方参政権が問題となっています。参政権が認められたら次は、外国人労働者の受け入れがテーマになるはずです。私はそう読んでいます。

私が日本の隣国の政治家であると仮定すれば、手に入れたいのは日本の領土ではなく、その自然とものづくりの技術です。しかし、これらは日本人でないと維持できない。そうであれば、日本の政治家を自分達の意のままに操って日本人を働かせその上がりをはねる方法が一番の得策です。

よって、国籍をとりやすくし、選挙権を認めさせ、大量に自国民を送り込む。この流れが作れれば、軍事行動を起こして世界中の批判を浴びなくとも、手に入れたいものが手に入ります。

とはいえ、その目的が明らかになっては困りますから、国籍や参政権については人権問題をテーマにし移民の問題については経済問題をテーマにして国内世論を操作するでしょう。

これは、あくまで私が隣国の政治家であればそうするという仮定のお話であります。

日本はこれから人口が減ってきます。さらに、若者は能力が下がっているにも関わらず、贅沢を覚えていますから、しんどい労働はしようとしません。誤った平等意識の植え付けのせいなのか、多くの若者がホワイトカラーを目指すので、ブルーカラーの仕事のなり手が急速に減少します。

そうなると、いちばん安易なのは、外国人をいれ安い賃金でそうした労働を担ってもらうことです。

ドバイはまさしくそうした国の典型ではないかと思っています。総人口は177万にたいして、自国民の数はたった15万人。

外国人に働いてもらい、国をまわしているといっても過言ではないような国です。

そこで考えてみましょう。日本はドバイをモデルに外国人の受け入れができるか??

今回の視察で私が出した答えは、、、、「NO」です。

国の成り立ちやシステム、国民意識が違いすぎます。

まず、ドバイは1830年から一気に作られた人口国家です。絶対君主制の国で選挙がありません。

ですから、外国人を多く入れても政治的な発言力を持たせないシステムができていると感じました。当然土地の所有などもほとんど認めません。例外は超セレブな富豪のみで、彼らにはお金を落としてもらわねばなりませんから、例外的な措置をとっているようです。

また、外国人には日本で言うところの労働基本権など認めていません。ドバイショックなどが起こり、経済が傾けば一気に解雇し、解雇されたら国内にいることを認めません。本当にドライな関係を築いています。

レイバーズキャンプ

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上の写真は、ドバイの隣のシャールジャにあるレイバーズキャンプ。

ドバイで働く外国人の多くはブルーワーカーで彼らはドバイ国内には住めず、隣のシャールジャから毎日バスでドバイに通います。

社員のアパートの1室には8人ほどが共同で暮らしており、そのほとんどが単身者。家族を呼ぼうと思えば、一定以上収入があることの証明書が必要との事です。

また、外国人が多いため、治安維持には力を入れており、ドバイはかなりの警察国家(情報国家)です。

警察官だけでも2万人をかかえ、さらにアルバイトの監視員が1.5万人。密告制度などもあり不審者は徹底的に洗い出します。

外国人を大量に受け入れつつ国をまわしていくにはそれくらいはやらないといけないのでしょう。その効果もあってドバイの治安は最高に良いと感じました。

少し比較しましょう。

日本            ドバイ

労働者の権利        手厚い          かなりドライ 

外国人の土地所有      あり            原則なし

参政権           認められそう         絶対なし

情報統制          ゆるゆる            厳格

社会保障        外国人にも一定あり    外国人にはなし

このような違いがありますから、いくらドバイが外国人労働力を上手く利用しているからといっても、日本がその例をもって

外国人労働力の受け入れを進めるべきだとの論理は成立しないのです。

ドバイでは、これだけドライな制度にも関わらず、受け入れた外国人の生活保障のコストが年々増加してきていると仄聞しました。

日本の人口規模や、日本人の優しさなどを考慮すれば、大量の労働力の受け入れや移民政策などは絶対にすすめるべきではないと確信しました。

良いのは一時だけで後々多くの付けが残ることが明らかです。

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世界を相手にした経済競争(貿易、観光)について

①ジュベル・アリ・フリーゾーンを視察

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総面積140平方kmのフリーゾン。世界最大の人口港をつくり、1987年に営業を開始した。

この地区では、法人税、関税、為替制限がすべてなく、現在6500社(日本社120社)が会社を置く。

すでにあるドバイ空港(年間4000万人の利用:成田と同規模)とは別に、このフリーゾーンの横に新空港を作り、港ー空港を直結とする計画が進行中。

世界一の中継貿易の拠点を目指す。(もともとドバイは貿易の国、石油もない以上生き残りをかけて戦うには『世界一』の規模が必要との考え

②ドバイ経済開発庁 視察

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外国の投資呼び込み、貿易、中小企業支援、ライセンス認定などを行う官庁を訪問してきました。

ドバイの産業構造は

石油関係20~30%、観光11%、物流10%、小売12%、不動産13%、製造数%といった内訳であり、

UAEのなかでは石油への依存度がかなり低いことを強調しておられました。

今後も石油関係以外の事業を伸ばして生きたいと考えておられ、日本とのよりよい関係を望んでいることも強く感じました。

③パームプロジェクト視察

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ドバイには海岸線が70キロしかなく、もうそのほとんどが開発され尽くしたということで考え出されたのがこのパームプロジェクトです。

直径5.4キロ円周11キロの人工島を3つ増やし、そこに外国資本と観光客を呼び込もうという壮大な計画に驚きと、悔しさと焦りを感じながら説明を受けてきました。

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島の先端にはホテルとリゾートが。

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中央部にはプライベートビーチの着いた別荘が立ち並び、モノレールが島を縦断しています。

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教育や道徳について

①知的・人的開発局視察

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ドバイの教育戦略をお聞きしてきました。

人口わずか177万、そして1割にしか満たない自国民比率でどうやって国を運営していくのか。非常に興味のあるところでした。

私なりにポイントをまとめると以下の3つが特徴です。

①徹底した学習効果の検証=学力検査の実施

②世界中の優秀な教育機関を誘致

③リーダーとしての自国民の育成

いかがでしょうか。指針が明確ですよね。日本の文部科学省はこんなこと考えているのでしょうか。

教育には戦略が必要です。それには国家目標が明確でなくてはなりません。

 そうした教育の下の人材育成で国際競争力をつけ、外貨を稼ぎ、福祉などの国民生活を保障する。これがグローバルスタンダードです。どこの国も必死でそれをやっています。

偏差値をあげるため?良い学校に入るため?そんな教育は意味があるんでしょうか。日本を出るたびにそう感じるのです。

②ラアス アル=ハイマのITTIHAD大学を訪問

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日本の福井大学と交流のある大学を訪問し、理事長や教授の先生方と懇談してきました。

日本に対する信頼がとても厚く、親日感情の強さを感じました。

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学生達はとても気さくに接してくれました。

驚いたのは学校の中で男女が完全に隔離されていることです。写真とおり同じ教室いても中に仕切りがあり、男女が顔を合わすことはありません。生徒の要望でこうなったそうです。

ラアス アル=ハイマでは、結婚も親が決めることが多いらしく、結婚前の男女が自由に恋愛などはしないと聞きました。それは自由がないのでは?と現地の日本人に聞きましたが、皆がそれを当たり前だと感じているし、女性は非常に大切にされており、そこに不満はあまりないのだとのこと。

久々に頭の体操になりました。自分達の常識を疑う良い機会がもてました。

何でもかんでも男女一緒にしろと主張する方は、こうした国へ来て「君ら遅れているよ!」と主張するのでしょうか?

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地方分権について

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ドバイ空港を視察しました。現在も新しいターミナルを作っています。空港の敷地だけで4×3の12平方キロもあるそうです。泉大津の南出議員が「うちの市と同じ面積だ」と驚いていました。

たった人口180万人くらいの規模でも、国家戦略を練り、資本を集中させれば世界のハブ空港になれるんです。

関空や羽田がしょぼく見えて仕方ありません。

日本も地方ごとに特色ある地域づくりをすべきでは?

アラブ首長国連邦ですからまさしく7つの国の集合体で、それぞれの国に特徴があることが良く分かりました。

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今回は外務省の皆様に大変お世話になりました。

皆さんがそれぞれにドバイのレクチャーや外から見た日本の形を語ってくださり、この懇談だけでもドバイまで行った価値があったといえます。

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お昼は、現地人ドライバーと庶民的レストランに。

夜は在留邦人のサラリーマンや公務員の方と意見交換をさせていただきました。

皆さん、外から見た日本の現状を語ってくださり、「今本当に政治の力が必要だ。このままでは日本の競争力や存在感がなくなる。」といったメッセージを送ってくださりました。

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ドバイも中心部を離れると砂漠だらけです。

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もともと砂漠だったところにこんな町ができるのです。水はすべて海水を蒸留して使用しています。

まとめ

ドバイでの学びを一言でいうと、「世界を相手に競争するってこうゆう事か」といった感じです。

政治的リーダーシップ、国家ビジョンの必要性も強く感じました。もちろん日本の方が優れている点は沢山ありますが、見習うところを学びにいったのでその話はやめておきます。

日本もドバイも共通の課題があることもわかりましたそれは、豊かになったがゆえの「若者の無気力さ」です。頑張らなくても生きていける。

そう感じた瞬間に人は堕落します。ここは万国共通なんですね。

今回のタイミングでドバイにいけたことは本当に意味がありましたし、もう一度行きたいくらいに思っています。その時は是非、若手の市長や経済人を引き連れてもっと多くの仲間にも刺激を与えたいと思います。

書いていけばきりがないので、視察報告はこの辺で。

また残りはお会いした方に口頭でお伝えします(笑)

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プロフィール写真

神谷宗幣 (かみや そうへい)龍馬プロジェクト全国会会長

昭和52年福井県生まれ。関西大学文学部・関西大学法科大学院卒業。
21歳の時、1年間海外で生活し、外国の若者と交流する中で「日本人に生まれたことの感謝」と「思考停止している日本の若者への問題意識」に目覚める。
2013年に株式会社グランドストラテジーを設立し、インターネットチャンネル「CGS」を開設し毎日番組を配信。大阪府吹田市を拠点に活動中で、日本人の意識改革のための海外研修及びセミナーや、「CGS」とリンクした「歴史」「主権者教育」「キャリアデザイン」「政治のしくみ」などをテーマにした講演は、若い世代を中心に多くの支持を得ている。
執筆活動も行い、主な著書として「大和魂に火をつけよう」「坂本龍馬に学ぶ仲間をつくる力」などがある。